青森県FAB懇談会記録
日時:平成14年3月26日(火)14:00~17:00
場所:青森グランドホテル
出席者:青森鉄工連組合 21名,JSCA東北支部 8名
議事内容
- 自己紹介後 『鉄骨の品質とコスト』についての懇談会を行った。
- 青森県鉄工連協同組合(以下FAB側)からの意見・質問について、JSCA側で回答を行なう形で行なわれた。下記に意見・質問とそれに対する回答を列記する。
- FAB
- JSCAは何をやっている団体なのか?
建築業界においてどのような役割を果たそうとしているのか? - JSCA
- 建築構造設計・工事監理に携わる者の集まりで、平成14年1月現在、全国の会員数は3,614名、内東北支部186名の会員からなっている。JSCAの目的は、建築構造設計・工事監理に関する学術・技術の発展を図ることにより、建築物の質の向上に貢献し、もって社会公共の福祉増進に寄与することを目指している。
目的を達成するにあたり、建築構造設計および工事監理に関する調査研究・基準書の作成・技術書の刊行・国際交流・建築行政への協力および提言・関係諸団体との相互交流、会誌の発行、建築構造士自主認定資格制度の制定などを行なっている。
今回の懇談会は、まさしく「関係諸団体との相互交流」ということになる。 - FAB
- 溶接入熱・パス間温度ついて、JASS6工場製作編(1996改定)に書かれており、ここ1.2年前ぐらいから入熱・パス間温度を管理して施工しなさいと求められてきている。パス間温度を管理して施工することは、時間が掛かり過ぎ、またコスト的に頭が痛いのが現状である。入熱・パス間温度の管理は必要でしょうか?
また、パス間温度の管理は、温度チョークを用いて色の変化で溶接工が管理するのが一般的であるが、FAB側ではまだ規格化されておらず、公共工事などでは要求される資料(写真など)が膨大になることもある。どの程度の書類提出をすればよろしいのか教えていただきたい。 - JSCA
- 入熱・パス間温度を管理して溶接しないと、引張強度やエネルギー吸収能力が低下することが分かって来ている。したがって、品質確保するためには、入熱・パス間温度の管理は必要である。
パス間温度管理の書類について、どの程度求めるかは、各社ばらばらなのが現状だと思われるが、良く分からないので調査します。 - FAB
- 超音波探傷非破壊検査認証がNDIS0601からJIS Z 2305へ移行するようである。
FABの持っている資格は、かなり多くそれらの更新が3年おきに行なわれ、それも安い金額ではない、年を取ってくると更新もきついのが現状である。この秋にJIS Z 2305 の講習会が行なわれ、新しく資格を取り直さなければならなくなるようだがどうなのか? - JSCA
- 非破壊検査のJIS制定については、調査した結果(社)日本非破壊検査協会のホームページに次のような文書が出てきました。以下に記します。
NDIS 0601による認定資格者の方々には、これまでの資格の更新時期に移行試験と再認証試験に合格して頂いた上で、またNDIS J001による認証資格者の方々には手続きだけで、JISによる認証資格へ移行して頂きます。なお、JISによる認証試験の実施要領をまとめるに当たりましては、特に以下の事項に配慮致しました。
(社)日本非破壊検査協会ホームページ
(1) NDIS 0601による認定資格者がJISによる認証資格へ移行するに際しては、移行される方々に過度の負担をお掛けしないものとしました。
(2)受験料等の経費につきましては、NDIS 0601による認定とJISによる認証とで資格の有効期間に違いがあることを考慮して、年当りの経費が同じになるようにしました。 - FAB
- 設計図書にSN、BCP、BCR等の記載があるが、製造していない部材や、トン数がまとまらないとロールしてもらえない部材などがある。たとえば、SN材は、H形鋼の裏サイズは製造していない。山形鋼やみぞ形鋼は、50tまとまらないとロールしてもらえない、SS材ではだめなのか? SN490B,C材は製品納入までの日数が掛かり過ぎて製造工程に影響が出たりしている。どのように対処すべきか?
設計図に標準図のみの記載でなく部材ごとに材質を書いてほしい。 - JSCA
- SN材は、リン、硫黄や炭素当量を規定して、溶接性を改善し、じん性能にとんだ材料であるため、特に溶接にからむ仕口部分に用いることは、品質確保上好ましい。寸法の公差もマイナス側に厳しいため、構造計算している断面性能に近い良い材料である。ただし、数量の少ない山形鋼・みぞ形鋼や、H形鋼の裏サイズまで書いてあることについては、設計者の無知から来ていると思われる。その場合は、質疑を出して対処してほしい。
- FAB
- 冷間成形角形鋼管のR部分は、構造設計上有効断面とみているのか?
BCP・BCR材のR部分に溶接欠陥が発見された場合は、補修すべきか?
高炉メーカーはJIS公差のマイナス側ぎりぎりで鋼板・形鋼を製造するので、どうしても目違いが生じる。FAB側で、告示 建告第1464号の目違い以内に納めるのは大変であり、また通しダイヤフラム等の板厚も厚くなり不合理である。
通しダイヤフラムの板厚が40mmを超える場合、F値を低減することになるが、問題ないのか? - JSCA
- 冷間成形角形鋼管のR部分は、構造計算上の断面性能に見込んでいる。
角形鋼管のR部分は、複雑な応力が作用する重要な部位である。欠陥がある場合は、もちろん補修すべきであるし、熱影響によりさらに欠陥が生じると思うのであれば、作り直すべきであると思う。
告示1464号による突合せ継手の食違いは、最近問題になっているが、中間検査等で発見された場合は既存不適格となり、手直しを強要されるため、設計段階で、仕口の収まり等を検討して板厚を図示すべきであると思われる。
通しダイヤフラムの板厚が、40mmを超えることが想定される場合は、構造計算の再検討を行ない、問題ないことを確認することになる。 - FAB
- 高力ボルトのジョイント部分で、継手のボルト本数ピッチ等がばらばらなので、JSCA内だけでも統一できないか? 鉄骨構造標準接合部SCSS-H97H形鋼編があるが、同じH形鋼に対して、M20、M22の2種類あるため、混乱している。
中央部材と端部部材の板厚が異なる場合、フィラープレートをはさみ込むが、すべりを生じて問題とならないのか?薄いプレートにショットブラストをかけるとゆがんでしまってかえって問題になりそうである。出来れば、端部・中央材とも同厚のほうがいいと思えるが? - JSCA
- 高力ボルト接合部については、標準継手SCSS-H97等があるが、指摘のとおり、2種類のボルトサイズが記載されている。継手についても基本的には、物件ごとに設計することになるため、みんな異なってしまうが、検討する必要があるかもしれない。
ブレースについては、引張ブレースのみならず、座屈耐力によって決まる圧縮ブレースも有り、ボルト本数を統一することは難しい。
引張ブレースで統一してしまうと、ガセットが大きくなり意匠的にまずいものも出てくる恐れがある。
1mmを超える肌すきには、フィラープレートを用いることになっているが、所定の摩擦面のすべり係数値が0.45以上確保できている場合は、問題ないと考えている。 - FAB
- エンドタブについてほとんどの設計図書に、原則として鋼製エンドタブを用いなさいと記載されているため、毎回フラックスタブやセラミックタブを使わせてくださいと申し出て、技量試験の結果を提出し了解してもらうことになる。最近のエンドタブの実験では、鋼製タブのガス切断部から割れが入りやすく、フラックスタブは問題がないという結果も出ているので、仕様書に鋼製タブ以外の仕様も入れて貰えないだろうか?
(フラックスタブの場合、初層のバックステップを行なわないほうが、欠陥が出にくいという結果が、タブメーカーから出ている) - JSCA
- もし、鋼製タブが問題であるとした場合は、「建築工事共通仕様書 (社)公共建築協会編」の中身も改定されているはずである。フラックスタブはバックステップを行なうため、端部から数cm入ったところに欠陥が出やすいと聞いている。
ラックスタブの性能がいいのであれば、全鋼協から建築工事共通仕様書の改定をお願いしたほうがいいのではないか。そうならない限り、今まで通り監督員の承諾を受けて採用すべきであると考えます。 - FAB
- 公共工事において、電気設備や機械設備のように、鉄骨工事を分離発注することは出来ないのだろうか? 設計時点で見積もりを出しても、ゼネコンから受注する金額はぜんぜん違っており、大変厳しい状況にある。
JSCAではCMについて動いていないのか? - JSCA
- 確かに言っていることは分かるが、建築工事を考えると難しいのではないだろうか
CMについては、大手設計事務所が行ないつつあるようだが、JSCAとしては、そのような話はない。 - FAB
- アンカーボルトについて、アンカーボルトの材質で、SNR材とSS材(電炉材、高炉材)などがあるが、設計ではどのように考えているのか?
丸鋼ブレースに、転造ねじと切削ねじがあるが、転造ねじを切削ねじに替える事はできないのか? 転造ねじ(JIS ターンバックル)は切削ねじに比べてコストが2倍近く高い。 - JSCA
- アンカーボルトのSNR材については、降伏比が0.8以下に規定されているため、じん性能に優れている。アンカーボルトに期待するような建物の場合は、SS400材では不十分と思われる。SS400材を建て方用アンカーボルトに用いるならよろしいと思われる。また、建て方用に用いるアンカーボルトであれば、電炉材と高炉材ではどちらでもよろしいと思う。
JISターンバックルのコストが切削ねじの2倍近く高いことは知らなかったが、JISターンバックルは、軸部で降伏するように設計されている。切削ねじでは、ねじ部で破断してしまう可能性があるため要求変形性能を満足でなきない場合がある。以下に短期許容耐力の計算値を記す。
M16の許容耐力 38.6kN 16φの切削ねじ許容耐力A*ft=2.01x18.0=36.18kN
M20の許容耐力 60.6kN 20φの切削ねじ許容耐力 3.14x18.0=56.52kN
上記の結果からしても、単純に転造ねじを切削ねじに替えることはできない。 - FAB
- 仕口部の溶接方法が記入されていない設計図書があるため、一般的な考え方を教えてください。
屋根などで部材に勾配があるために、柱ダイヤフラムと大梁フランジの収まりが上手くいかない場合があります。冷間成形角形鋼管を用いる場合、勾配のあるダイヤフラムは、R部の裏当金がねじれてしまうため、上手く製作できません。はり通しにした場合は、プレートの厚みが50mmを超える場合もあります。
どのように考えたらよろしいかのか教えてください。
X・Y方向で梁成が異なる場合、中間にダイヤフラムを入れる必要がでますが、溶接できない場合があります。このような場合の対処方法を教えてください。
冷間成形角形鋼管を用いているのに、梁を柱面にセットしており、R部に梁が取り合う設計図書があります。どのように対処したらよろしいでしょうか? - JSCA
- 上記の質問は、図示されたものを頂いた。後日回答することとした。

