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構造設計一級建築士の制度運用と(仮称)サポートセンターに関するアンケート結果

§1 調査概要

1.調査対象地域
東北6県(青森県、秋田県、岩手県、宮城県、山形県、福島県)
2.調査日
平成20年12月10日
(最終回収日  平成21年1月中旬)
3.総回答者数
77名(設問により、回答者数が異なる。)
回答者はすべて日本建築構造設計技術者協会東北支部所属会員

設問(PDF 24KB)

アンケート集計表(グラフ)(PDF 56KB)

 

§2 全体としての反省

 回答者が回答しやすくするためには設問数を少なくした方が良いであろうという考えから、設問に回答者の居住県や、事務所規模等をいれなかった。それが不備となり、結果として十分な分析が出来得るデータを収集することができず、中途半端な分析結果となってしまったことを初めにお詫びいたします。

 今後、アンケート調査を行う場合の反省とします。 

 

§3 調査結果のまとめ

Q1 構造設計一級建築士の充足感について

 上記理由により、各県別でのデータ集計ができなかったので、東北6県全域を対象とした一のデータとしてまとめている。不足人数のデータについては、設問が回答者の居住県の構造設計一級建築士の不足人数を問うているので、データ根拠の統一性に欠けた結果となっており、本集計グラフでは意味をもたない数字となってしまったことをお詫びする。

 よって、本データは東北6県全体としての構造設計一級建築士の充足感に関するデータとしてのみ読むこととする。

 総じてみれば、半数以上の回答者が構造設計一級建築士の人数は十分であると感じているという結果となっている。ただし、まだ構造設計一級建築士制度が施行されていないこと、県別のデータではないこと、さらに回答者の多くが構造設計一級建築士修了者であることなどを十分に考慮したうえで、本データを視る必要性がある。

 

Q2 構造設計一級建築士制度に対する理解度

 構造設計一級建築士の制度の理解程度に関する設問であるが、全員が「理解している」と回答している。

 

Q3-1 未修了者から構造計算適合性判定依頼があった場合の対応について

 回答者が構造設計一級建築士であった場合、非構造設計一級建築士(講習会未修了者)からの法適合性判定業務の依頼があった場合の引き受けに関する設問である。

 「依頼者によって決める」が40%、「引き受けない」が34%である。そのほかに「手数料によって決める」が11%、「無条件で引き受ける」が5%となっている。

 改正建築士法で構造設計一級建築士の責任が大きくなることは、前問からも回答者全員が理解したうえでの回答である。「依頼者によって決める」「引き受けない」との回答は、構造設計一級建築士として依頼物件に関与することによる責任性の重大さから、引き受けることに対する慎重な姿勢が現れた結果であると思われる。そのなかでも、「依頼者によって決める」とは、依頼者が親しい間柄で実力もわかっているという、つまり、相手の顔が見える関係ならば良いということであろうと想像される。

「手数料による」とは、依頼者からの設計図書を精査したうえで引き受けるという意味で、そのために必要となる時間対価であろうと思われる。

 

3-2 構造設計一級建築士に対する仕事量(物件数)の変動予測

 構造設計一級建築士制度により、構造設計一級建築士に対する仕事量(物件数)の変動はどのように予想しているかという設問である。

 それに関しては、「仕事量が減る」という回答は0%であり、56%が「仕事量が増える」、35%が「変わらない」と回答している。

 これは、今回設問として設けていないが回答者が構造設計一級建築士の関与が義務付けられている構造規模の構造設計を多く受託しているか否かという点は今回の回答の因子として大きいと思われる。

 

Q4 回答者が未修了者であった場合の、構造設計一級建築士制度への対応について

 本設問への回答は少数であったため、集計を省略する。

 

Q5-1 構造設計を受託している建物の建設地が、自県の割合

 回答者が構造設計を行った建物の建設地のなかで、回答者の居住県内の建物が占める割合は、100%(すべて居住県内の物件の意)から0%(すべて居住県外の物件の意)まで幅広い分布となっている。

 受託物件の建設地が、回答者の居住県内の場合が70%以上を占める構造設計事務所と、それ以下の構造設計事務所で区分するとすれば、それぞれ約半数づつとなっている。

 また、ここでも設問がないので、構造設計事務所規模やその事務所所在県別のデータとしてまとめることができなかったが、元来人員規模の大きな構造設計事務所ほど、その居住県外の物件の構造設計を受託している割合が大きい傾向があるようである。よって、居住県内の物件の占める割合が大きいのは小規模の構造設計事務所であり、その逆として居住県内の物件の占める割合が小さいのは比較的大きな規模の構造設計事務所であろうと想像される。そうであれば、本データは事務所数のデータであるため、それを物件数に注目して換算すれば、その所在県内の構造設計事務所が設計している物件数は本データよりも低い割合になるであろうことも同時に推測される。

 

Q5-2、5-3 構造設計を受託している建物の建設地が、他県の割合

 回答者の構造設計事務所での構造設計物件で首都圏(東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県)に建つ建物の占める割合と、首都圏以外の他県の場合の割合を問うている。

 それが、首都圏の場合は、0%(全く手がけていない)の構造設計事務所が60%、手掛けている構造設計事務所が40%程度である。また、首都圏以外の他県(居住県以外の県)物件をみれば、約3/4の構造設計事務所が、居住県外に建つ建物を手掛けている。しかも、その割合が40%以上を占める構造設計事務所が1/3程度を占めていることがわかる。

 Q5-1のデータと重ね合わせてみていただきたい。

 

Q6-1,6-2、6-3 (仮称)サポートセンターについて

 サポートセンターが意匠設計者などに対して、構造設計一級建築士の紹介を業務として行うのであれば、サポートセンターから紹介された構造設計業務を引き受ける意志があるか、また引き受けるための条件はあるのかについての問いである。

 半数が「現在の構造設計業務に余裕があり、構造設計料も納得できれば受託する」と回答している。また、今回その内容については集計していないが「引き受けるには、それなりの条件がある」という回答者が34%おり、「引き受けない」という回答は13%という結果であった。

 また、サポートセンターへの要望としては、「紹介する場合は、紹介者としての与信保証」を66%が希望している。さらに、約半数の回答者が依頼者との契約や、設計料の極め合い、支払い条件にもサポートセンターが関与することを要望している。

 その理由として考えられるのは、次のような事であろうと思われる。サポートセンターから紹介された依頼者は初めての取引先となるケースがほとんどであろう。また、サポートセンターは駆け込み寺的な役割になる可能性が高いため、さまざまな依頼者がさまざまな理由でサポートセンターを利用することになると予測される。そうであれば、取引開始をするにあたり事後のトラブル回避の手段として、お互いに取引相手の調査をする必要性がでてくる。しかし、構造設計事務所は弱小事務所が多く、そのような調査能力に欠ける事が多いために、その機能をサポートセンターに求めているものと思われる。

 よってこの結果からみれば、サポートセンターとして単に紹介するということであれば、成約率が低迷する懸念があると思われる。

 

文責:加藤重信